成長の軌跡

小学校教員 「なりたい自分になりたい!在りたい自分で在りたい!」そんな思いを実現していくためのブログです。

「火花」 挑戦する人こそ、自分の人生を得られる 

必要がないことを長い時間かけてやり続けることは怖いだろう?一度しかない人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう。無駄なことを排除するということは、危険を回避するということだ。臆病でも、勘違いでも、救いようのない馬鹿でもいい、リスクだらけの舞台に立ち、常識を覆すことに全力で挑める者だけが漫才師になれるのだ。それがわかっただけでもよかった。この長い月日をかけた無謀な挑戦によって、僕は自分の人生を得たのだと思う。

「火花」又吉直樹

 

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売れない芸人の恐怖がどれほどのものか、簡単には想像できません。

周りの人からは、「いつまでやってるの。」「早めに辞めた方が取り返しがつく。」など、一般的に正しいと思われる言葉を投げつけられることでしょう。

こういった言葉を聞くたびに、売れないことへの焦りが募り、不安になるはずです。

挑戦している人というのは、周りから理解を得られている内はいいでしょうが、反対意見が多くなるにつれて、孤独感が強くなるものです。

それでも成功すれば、「辛い時もあったけど、続けてよかったね。」などと言われるでしょうが、成功するとは限りません。

認められるのは、成功した人に限る場合が多いので、認められないままの人は多いでしょう。

 

挑戦する人は、「無謀な挑戦かもしれない」ということを自分が一番分かっているはずだと思います。

それでも、自分を信じて挑戦を続ける。私は、その過程に美しさを感じます。

こういった生き方は、夢を諦め「無駄なことを排除して、危険を回避する」という生き方より、遥かに良い生き方のように思います。

もちろん生き方に良いも悪いもないかもしれませんし、私が「この生き方がいい」などと考えるのは、極めて不遜であるようにも感じますが。

 

私は教員を続けていて、自分に力がないと感じることが多いです。

働いていると、忙しさのあまり自分を見失ってしまうことも多いし、理想とする教育とは程遠い仕事をしている自分に腹が立ってきます。

子供にそんな教育をしていて、申し訳なく思うことも少なくありません。

その度に、「辞めてしまって、他のことをしてもいいんんじゃないの。」と心の中で囁く声が聞こえてきます。

 

売れない芸人と同じではないとは思いますが、挑戦する人の端くれとして、「火花」に出てくる主人公の気持ちに共感できる部分が多かったです。

だからこそ、周りの人から「そんなに無理しないで、他の仕事もあるんだから。」と言われたり、心の中で「辞めてもいいんじゃない。」と囁く声が聞こえたりしても、教育者として挑戦することを続けていきたと思います。

辛いことも、上手くいかないことも多いですが、一度しかない人生、自分を信じて、進みたい道の中で挑戦を続けていきたいです。

そしてその結果、上手くいかなかったとしても、「火花」の一文にあるように、「自分の人生を得る」ことができれば、それは美しい生き方であるように思います。